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大阪地方裁判所 平成3年(わ)898号 判決

本店所在地

大阪市中央区心斎橋筋二丁目二番一〇号

株式会社

最上

(代表者代表取締役 沼澤和子)

本籍

大阪市中央区東心斎橋一丁目一八番地

住居

同市住吉区万代三丁目八番一二号

会社役員

沼澤和子

昭和一八年六月二一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官本多重夫出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社最上を罰金二一〇〇万円に、被告人沼澤和子を懲役一年に、それぞれ処する。

被告人沼澤和子に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社最上(以下「被告会社」という。)は、大阪市中央区心斎橋筋二丁目二番一〇号に本店を置く、串カツ料理店の経営を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人沼澤和子(以下「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和六一年五月一六日から昭和六二年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が四一三八万二二九八円であった(別紙修正損益計算書(一)参照)にもかかわらず、売上の一部を除外するなどの行為により、その所得の全部を秘匿した上、昭和六二年六月三〇日、大阪市中央区谷町七丁目五番二三号所在の所轄南税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の欠損金額が一〇六五万七三六三円で、これに対する法人税額が〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、法人税一六四二万〇三〇〇円(別紙税額計算書参照)を免れた

第二  昭和六二年五月一日から昭和六三年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が七八七九万七九〇五円であった(別紙修正損益計算書(二)参照)にもかかわらず、前事業年度と同様の行為により、その所得の全部を秘匿した上、昭和六三年六月三〇日、前記南税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の欠損金額が一四一九万一七〇三円で、これに対する法人税額が〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納税期限を徒過させ、もって不正の行為により、法人税三二〇九万六〇〇〇円(別紙税額計算書参照)を免れた

第三  昭和六三年五月一日から平成元年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が九九八一万九一四四円であった(別紙修正損益計算書(三)参照)にもかかわらず、前事業年度と同様の行為により、その所得の全部を秘匿した上、平成元年六月三〇日、前記南税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の欠損金額が八五四万一一〇一円で、これに対する法人税額が〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、法人税四〇九四万二三〇〇円(別紙税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

注 カッコ内の算用数字は証拠等関係カード(検察官請求分)の当該請求番号の証拠を示す。

判示全事実について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一六通

一  重松凪子(五通)、礒井広美(二通)、沼澤直毅、沼澤直之、島田友博(三通)、西田善明(三通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一九通

一  大阪法務局登記官作成の登記簿謄本

一  検察事務官作成の報告書

一  大蔵事務官作成の「脱税額計算書説明資料(損益)」と題する書面

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(4)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(1)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(5)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(2)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(6)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(3)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するところ、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

更に、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により右各罪の罰金額を合算した金額の範囲内で被告会社を罰金二一〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 福井一郎)

別紙 修正損益計算書(一)

〈省略〉

別紙 修正損益計算書(二)

〈省略〉

別紙 修正損益計算書(三)

〈省略〉

別紙 税額計算書

〈省略〉

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